仏壇選びの達人

専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報

おすすめ仏壇店

輪島漆器仏壇店


熊本豪雨で被災された方に「ご先祖様の仮設住宅」を


令和2年7月豪雨の被害は九州全域に広がったが、特に熊本県南の被害が大きく、球磨川水系は数十カ所で決壊氾濫し、大きな洪水をもたらした。
この未曾有の洪水被害に対して熊本豪雨被災者支援として「お仏壇の一時預かり」「小型仏壇無償提供」と立ち上がったのがくまモンの仏壇店として全国に知られる輪島漆器仏壇店。

永田社長は「熊本の方々のおかげで輪島漆器仏壇店の今があります。豪雨で被災された方のお仏壇のことを、そこに御安置されて来た御本尊様、そしてご先祖様のことを思うと私はいてもたっても居られません。すでに被害の大きかった人吉市などから被災されているお仏壇をお預かりしており、泥をかぶったお仏壇をすっかり美しくでお戻しする予定です」と語る。

同時にスタートしたのが「熊本豪雨被災者仏壇無料提供」。永田社長は「御本尊とご先祖様の仮設住宅として是非御安置下さい。被災者の皆様の心の拠り所になれば!!と考えました」と語る。その無償仏壇は明るい色の厨子で高34㌢×幅18㌢×奥行19㌢。陶器製の仏具も付けられる。来店が難しい場合にはお届けするサービスも提供している。
(宗教工芸新聞2020年8月号掲載記事より)

 

 

こうしたいち早い活動には2016年の熊本地震の経験が息づいている。

 


熊本大地震の中での取り組み


 永田幸喜社長は2016年4月14日の夜、激しい揺れの後、日本テレビの緊急中継の中で、電話取材を受けた。地震の被害状況を伝える番組で、テロップには「輪島漆器仏壇店社長永田幸喜」という名前も登場。テレビの効果もあり翌日には仏壇が地震で傷ついたという問い合わせの電話や来店が多数あった。14日の地震の被害は実はそれほど大きなものではなかった。

「熊本に大きな地震がくるなんて私自身予想してなかったですし、大きな地震でしたが、被害も大きくなくホッとしました」

 しかし14日の地震は前震に過ぎず、16日の深夜一時に発生した地震は大きな被害をもたらした。揺れ始めた時、永田社長はすでに寝ていたが、揺れが大きくなると飛び起き「この大きな揺れで店はきっと潰れ、仏壇も全て壊れたに違いない」と怯え、揺れが納まると店舗をすぐに見に行った。確かに仏壇は倒れていたが、倒れていたのは海外製の数本。同社のくまモン仏壇、肥後丸神棚はかろうじて展示台に残り(くまモン仏壇は左に倒れかかっていた)、川辺に特注しているオリジナル金仏壇の全てが無傷。

永田社長は奥さんと一緒に店舗内の片付けを始め、やがて輪島漆器仏壇店で働く弟さんも手伝い、9時前には店の態勢を整えた。その日の朝から、「仏壇が倒れたので見に来て欲しい」という問い合わせが殺到することになる。
熊本地震が起きる前月の3月までは、あまり景気が良くなかった。県知事選挙があったことも原因と永田社長は振り返る。そして四月、仏壇がようやく動き始めるかなと感じ始めた時に、地震が起こった。永田社長は「ああ、これでお終い」とどん底に突き落とされたような気持ちになったが、実際には地震の後には忙しくしている。新規の仏壇の納品も多い。

「これまでのお客様への働きかけが、地震で一挙に花開いた」と永田社長は語る。

 輪島漆器仏壇店は毎朝6時に店を開ける「日本一早い仏壇店」。そして店のモットーは「生涯無休」。熊本県から認定されたくまモンの仏壇店でもある。(宗教工芸新聞2016年7月号掲載記事より)

 


好評の冊子
「間違いだらけの仏壇選び!!」


 くまモンの仏壇店こと輪島漆器仏壇店(熊本市)が配布している冊子が『間違いだらけの仏壇選び これを読まずに仏壇を買うな』。当初の出版は原稿用紙に手書きの簡易製本だったものが、好評につきカラー製本のものになった。内容は全く難しくない。「なぜ今こんなに仏壇が安いの?」では、海外製造の仏壇が市場の大半を占めていることを説明。「私は、サラリーマンではございません。商売人です。当店から購入いただいたお仏壇は、私が生涯無休・24時間電話受付でアフターサービスをお約束します」という心意気が語られ、「しまった、ネットは売りぱなしだよ。アフターサービスないよ、と怒ってらっしゃいました」 というお客様の声を紹介することでネット業者に対抗する。A4カラー両面刷りの手書きニュースレターの配布と合わせて、こうした情報発信の積み重ねが、仏壇販売実績を生み出している。(宗教工芸新聞2020年4月号掲載)

 

 


先代からの事業継承と危機の中で生まれた
「くまモン仏壇」


 輪島漆器仏壇店は創業者永田孝氏の時代から個性的な店であった。テレビショッピングに取り組むことで知名度を上げ、数多くの仏壇を販売してきた。永田孝社長は残念なことに2002年(平成14)に急逝し、その後を長男である永田幸喜氏が継ぐ。
継承した後、県外からの仏壇店の出店攻勢もあり、売上は半減するが、そんな時に永田社長が「これしかない」と食らいついたのが「くまモン」。県庁に通い説得し、2011年「くまモン」商標の第1号となった。

 

 

その後は全国のテレビ、ラジオからの取材を受け、「日本一マスコミに登場する仏壇店」とも言われるようになった。永田社長自身がくまモンに扮して登場するなど、その発信力は強力。
また、その頃から取り組み始めていることが、絵手紙。それまでも手紙は出してたが絵手紙を出すようになって、その効果が倍増した。絵手紙とは、その名の通り、絵入りの手紙のことだが、自筆の絵が入ったものを絵手紙と呼んでいる。来店して頂いた方、電話を頂いた方、さらにはご入金頂いた方には必ず絵手紙をその日のうちに出している。入金して頂いた方にも、というのが永田社長らしいところだ。
絵は永田社長が描いたものだが、「もともと絵は得意でなかったのですが、描いているうちにさまになってきたのかなと思います」と語る。

 ここまでやり通すことが出来る永田社長は、元々車のセールスマンであった。だから営業が得意というのではない。経営の危機感が、毎日の努力を生み出している。
毎朝六時にお店を開けるというのも、輪島漆器仏壇店ならでは。「朝6六時から開けている仏壇店は、全国でもウチだけでしょう。それが売りです。お客様が来るというわけではないのですが、店を開けて、フェイスブックやブログに書き込んだり、絵手紙を描いたりという時間に使っています」。相変わらずユニークだだな、と思う。
仏壇は金仏壇が主体、それも国産川辺製が基本で、ちゃんと職人さんの名前も前面に打ち出している。海外産の金仏壇も展示しているが、僅かに数本だけ。熊本大地震の時に倒れたのは、たまたまだが海外製の金仏壇だけであった。
唐木仏壇では「開運仏壇」が人気。分かりやすいネーミングがお客様の心をとらえる。仏壇をお祀りして、家運が上るという説明は、やはりお客様の心に届くのだ。(宗教工芸新聞2016年7月号掲載記事より)


全国に知られる「アマビエ仏壇」


新型コロナウイルスが蔓延し始めた2020年4月に完成したのが「アマビエ仏壇」。鹿児島県南九州市で、伝統工芸士を擁する大阪仏壇店が製作したもので、このアマビエの原版となった瓦版を持つ京都大学の原画を忠実に再現。「京都帝国大学図書印」の判子までが再現され、右側にはアマビエ出現の由来を記した文字が忠実に再現されている。このアマビエ仏壇は熊本に限らず、全国から問い合わせがあり、全国ネットマスコミでも取り上げられたこともあり、わざわざ拝みに来る人もいる。

基本情報

住所 熊本市西区上高橋町1-11-2
Tel 096-329-0224
HP
仏壇公正取引協議会
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