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第6回わが家のお仏壇物語

銅賞「私の使命」石井 美香(福島県・30歳)


石井家には私の祖父と祖母の仏壇がある。よく「立派な仏壇だね」と言われたが、幼い頃はあまりその実感はわかなかった。でも大きくなるにつれて、その意味を理解するようになっていった。

祖父は26年前、祖母は4年前に亡くなった。祖父が亡くなったのは私が5歳のときだったので、あまり記憶はないが物静かでとても優しかったのを覚えている。そして、初めて人の「死」というものに出会ったのもその時だった。

私は祖父、祖母、父、母、姉のごくごく普通の家庭で生まれた。ただ一つ少しだけ他の家庭と違っていることがある。それは、母が養女であるということである。母は幼いころ、自分が養女であることを周囲の人から聞かされていたらしい。当時の一人っ子はとても珍しかったのだ。一人っ子の母は祖父と祖母の希望通りに婿養子をとり、めでたく石井家の二代目となった。

そのことは、私も小学生低学年くらいから知っていた。しかし、祖父も祖母も子煩悩でとても優しく、人のために尽くすとても素晴らしい人達だった。だから、姉も私も祖父と祖母のことが大好きで、血のつながりなんて感じたことなんてなかったのだ。

1年前、私は離婚のため1歳の息子と共に実家へ帰ることとなった。祖母は私の結婚のことを心配していたが、報告を出来ずに亡くなってしまっていた。でも、もしかしたら結婚も離婚も知らなくて良かったのかもしれない。私の心は今にも壊れそうで、これからどう生きていけばよいのかわからなくなっていた。そんな時、実家の仏壇を前に以前祖母が言っていた言葉を思い出した。「美香ちゃんが家に戻ってきてくれたら、嬉しいなあ」、どんな形であれ、私が石井家の3代目として生きていくことに祖父と祖母は喜んでいてくれているような気がする。そして、この仏壇を思っていくことが私の生きていく意味となり、使命となった。仏壇の前で祖父と祖母に石井家の4代目を立派に育てると誓ったのである。

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