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第6回わが家のお仏壇物語

銀賞「仏さんとじいちゃん」笠井 穂の香(北海道・22歳)


私の祖父の家には昔から大きな仏壇があって、隣に三十センチくらいの仏さんがいる。仏さんはいつもきれいな箱の中に入っていたので、当時小学生だった私は大人に言われないながらも、仏さんに触ったらだめなのだろうなと思っていた。

しかし、触ったらだめだと思えば思うほど触ってみたくなるもので、ある日私は大人が見ていない隙に、仏さんを箱から出してみた。仏さんは意外に重かった。普段は見られない仏さんの背中側や裏側をじっくり観察しているうちに、私はあることに気がついた。

「仏さんの指が欠けている!」

そうお母さんに報告すると、お母さんは私が壊したと勘違いしたのだろう、憤怒の形相でじいちゃんの元へ私を連れて行った。なにせ私には、仏壇のろうそくで火遊びをして畳を焦がしたという前科があったので、勘違いされるのも当然だ。そして、私は勘違いされたことに驚き、なにも言えないまま、じいちゃんに謝るお母さんを見ていた。じいちゃんは仏さんの指と私を見て、
「ああ、それな、じいちゃんが子どものとき遊んでて落としたんだわ。」
にやっと笑ってそう言った。

誤解は解けたけれど、厳格そうで内心近寄り難いと思っていたじいちゃんが、私みたいに仏像で遊んでいたことがあったなんて、なんだか不思議に思った。

あれから10年以上経ち、じいちゃんは今仏壇の中にいる・・・なんてことはなく、80歳近い現在も病気一つせずに、ばあちゃんと一緒に元気に暮らしている。たまに実家に帰ったときには、いつまでも元気でいてくれますように、と指の欠けた仏さんに手を合わせる。

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