飛騨の小さな山村に、私の生まれ育った実家がある。毎日、御嶽山・乗鞍岳を拝める、自慢の故郷である。 昭和三十九年、実家に花嫁が来た。近くの村同士の婚姻が多い村で、兄嫁は岐阜の町娘だった。その白い手足と華奢な体付きを見て、「 […]
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小さな姪っ子に後ろから手を添え、一緒にお仏壇に向かって手を合わせる・・・。 幼いころ、同じように私にお唱えの言葉を教えたのは、父でした。木魚をたたく父の後ろで、一緒に手を合わせる時間が、私は好きでした。 父がこちら側で一 […]
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今の仏壇は二代目である。平成五年、初代の仏壇に別れを告げた。初代の仏壇には祖父母の位牌が納められていた。古くからあった仏壇を法事のあった折、父が選んで買い換えたものが今の仏壇である。 「親父、ええ仏壇が買えたろうが。見て […]
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夫の祖母は86歳。32年前に伴侶の祖父を亡くしている。ガンであっという間だったという。 以来、月命日の28日には墓参りに行く。歩いて行ける距離だからというのもあるが、先祖のお墓が遠い田舎にあって、めったに墓参りに行く機会 […]
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定年退職を目前にした五十九歳の時、私の父は肺癌に侵された。定年退職後は、趣味のゴルフや海外旅行などを楽しみたいと、父は目を輝かせて語ってくれた。しかし、その夢は叶うことなく、父は六十歳で天国へと旅立った。 癌が発見されて […]
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「仏壇を守るのはうら(私)の仕事や」 祖母は生前自分でそう言っていた。 私の家には珍しく仏像の仏様が安置された仏壇がある。実際、毎日仏様にお仏飯をあげるのも、お花やお供え物の管理も、祖先の月命日にお坊さんに読経していただ […]
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四十才を過ぎた長男の立場である、夫に頼んで、仏壇を買ってもらいました。 しっかり入魂されたお坊様が、お膳の物を次々と召し上ります。「面笑しい、面笑しい」と、首をかしげながら、大変に悦ばれ、お酒も再々お注ぎしました。本 […]
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私の記憶の中には、わが家にはいつもお仏壇があった。月命日に坊さんの読経を頂くこと60年に及んでいる。これは私が生まれる前から始まっている。 かつて、居間兼食堂兼応接室兼勉強部屋である6畳1間のわが家に金箔付きのお仏壇 […]
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私が物心ついたとき、すでにお仏壇はあった。小机の上に飾られた、幅五十センチ、高さ七十センチほどの黒塗りで扉の裏に金箔が貼られたこじんまりしたもので、私が生まれる二ヶ月前に亡くなった兄の供養のためのものだった。父は七人兄 […]
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お仏壇の前に座ると、田舎で過ごした子どものころの風景が浮かんできます。 見渡すかぎりの田圃には縦横に小川が流れていて、ところどころに堰があり、その中に入って遊ぶのが夏休み一番の楽しみでした。 網を持って構えたところ […]
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