専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第9回わが家のお仏壇物語
実家の2階に大きな仏壇がやってきたのは、20年以上前のことです。中学生だった私は、初めて見る金色の煌びやかさに圧倒され仏壇を見て「すごいねぇ」と言わずにはいられませんでした。
それから10年後に祖父が他界し、お参りのたびに父方の親戚一同が実家に集まりました。なかなか会うことのできない遠い親戚も近い親戚も皆が集まり、おしゃべりに花を咲かせ、そんな時間が楽しく大好きでした。
それから私が結婚し、娘と息子が産まれ、今、娘は5歳半、息子も3歳半を過ぎました。実家に行くと、子供達も、煌びやかな仏壇を気に入り、たまに「おまいりする」と言っては、仏壇の戸を開けて、電気をつけ、数珠をすると、鈴(リン)をチンと鳴らして楽しんでいました。
去年の2月14日、95歳で祖母が亡くなりました。一周忌は、親戚みんなが集まれる、一月の最終日曜日、親戚一同が集まり、仏間でお参りが始まりました。子供達は、正座をして手を併せて周りを真似ているものの、5分ほど経つと他の部屋に遊びに行ってしまいました。
2月14日当日は保育園のお遊戯会の練習手伝いの後、仕事に向かったため、子供達は母に頼み、実家で遊ばせてもらっていました。私はすっかり命日を忘れていて、実家へ帰るなり、母が「びっくりしたことがあって」と話し出しました。
母が、子供達に「夕飯の支度ちょっとで終わるから、少し二人で遊んでてね」と言って、しばらくしてから、二人のところへ行くと二人は仏間にいて、娘が仏間の前でお経を読み、息子がその後ろで正座をして、手を合わせてたと言うのです。
大人がわざわざ教えていないのに、幼児が大人を見て真似て、お経の振り仮名を読んだのだとしても、それが祖母の命日であるという偶然に、私は鳥肌がたってしまいました。
祖母が子供達にお参りしてもらいたくて、呼んだのかなと私もその後、子供達とお参りさせていただきました。