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仏壇と仏壇店情報
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冨田工藝(京都)は11月4日に開催された工房見学会において新作位牌と仏具を発表した。
新作位牌のひとつは京位牌「須弥」。須弥とは言うまでもなく四天王などの諸天が住む須弥山のことであり、台座はまさしく須弥壇。
「須弥」の一つは札板の外縁に乾漆粉を蒔いた上に箔座(高岡製箔)の「純金プラチナ箔久遠色(純金92%・純プラチナ8%の同社オリジナルの金箔)」を用いて仕上げたもの。乾漆粉を下地とすることできらめく久遠色の表情が生まれ、光が湧き上がるようにも、光が降り注ぐようにも見える。久遠色が持つ穏やかで気品のある箔色がよく活かされている京位牌だ。
同様に位牌札板の外縁を銀箔の焼き付け箔(赤貝・青貝・黒箔)で仕上げた製品も発表された。
位牌台座を舎利容器にする試みは、これまでも冨田工藝によって行われてきたが、今回は清水焼の窯元である陶葊(とうあん)とコラボした位牌を発表。
台座には陶葊が製作した舎利容器を用い、落としは金属製。そこに軽く捻るように薄紅色の蓮弁を持つ札板を差し込めば舎利容器を台座とする位牌となる。
「陶器に金属の落としをつけ、蓮弁台座を差し込むことが難しかったのですが、陶葊さんや金属加工の職人さんの力を借りて製品化することができました」と京位牌師の冨田睦海氏は語る。
陶葊による共柄の瓔珞文様の仏具も発表されている。
冨田工藝の留め型とも言える隅切り方形台座を伝統的な日本画で仕上げた製品も魅力的だ。
今回展示されたのは「犬」「猫」「蓮」「菊」「鮎」の五種類だが「お施主様のご要望に合わせて様々な画題で描くことが可能ですので、是非お問合せ下さい」と語る。