生前の祖母はおしゃれ好きだった。普段、家にいるときでも、きちんと化粧をして、フリルのついたスカート服をはいて若さを演出していた。そんな祖母が三年前に他界した。 葬儀を滞りなく済ませ、ようやく一息つきかけた時、小さな […]
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代々のご先祖様を祀る年季の入った位牌が並ぶ中、一柱の真新しい位牌が目に留まる。一昨年亡くなった父のものだ。その前には、彩りよく盛りつけされた三、四品のおかずとご飯。「はい、お父さん」と毎朝声をかけながらお供えする、母ご […]
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主人は私と違ってとても親思いで、何かにつけて、お仏壇の前に座ります。朝食前と帰宅後には習慣のようにお線香を焚きます。私は更年期障害からか、いろいろの「におい」が強く感じられるようになって、線香の「香り」がとても気になり […]
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十二年前の明け方、私の妻は亡くなった。初秋の雨で肌寒い日だった。私の二人の子と妻に最後の別れをしたことを最近のように憶えている。葬式が終わって私は呆然としていた。だが早急にしなければならないことがあった。妻の遺骨を納め […]
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ブランドは夢と一緒に売りたい。イタリア系の衣料販売の業界へと転身した息子。子供には子供の生きる道があると今風な親を気取っていても、息子が三十二になってまだ独り暮らしなのは何とも気掛かりである。 その息子から「十六、十七 […]
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私が大学を卒業する年に母が亡くなった。私の母の死後、一人暮らしを始め、父とは生活を別にした。父に墓を建てる余裕はなく、母の遺骨は公の施設に預けられた。母が生前に買い求めていた小さな仏壇は、父が住まいする部屋に納められ、 […]
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零細家内の大家族へ嫁いだ日、私が最初にしたのは、仏壇にお参りすることだった。 まだそんな時代であった。実家をあとにした際も、見守り続けてくれたお仏壇に、花嫁姿で手を合わせてきた私。 初めて参った婚家先の仏壇は、案外 […]
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この写真の仏壇にいる仏様は私の母です。うちは母子家庭だったため、この時のお葬式の施主は長男である私が努め、仏壇を購入しに行ったのも私でした。当時29歳でした。結婚していた私は27歳の妻と二人で仏壇屋さんへ・・・ 初め […]
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今から20年前に中古住宅を買った。 その頃30代の初めだった私たち夫婦は、独立させたばかりの事業のためにお金が幾つあっても足りない時期で、建替不能の12坪弱の古い家を購入するのが精一杯だった。台所の床が陥没していると […]
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私と仏壇の記憶をたどってみると、私が物心ついた頃、母方の祖母の家の仏壇が一番初めに思い浮かびます。 祖母の家は昔造りの家で、六畳間、八畳間が続き部屋になっていて暗いどんよりとした中に黒光りした物体がありました。それが […]
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