仏壇選びの達人

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第1回わが家のお仏壇物語

佳作「わが家のお仏壇物語」久保久美子(鹿児島県・女性・60歳)

 亡き父が定年退職した時に求めた仏壇は、当時の両親にとっては、ささやかな贅沢品でした。こじんまりした造りの紫檀製で、我が家をじっと見守ってくれています。
 お初のご飯とお茶は、お仏壇へあげてからでないと喉を通りません。娘も必ずお初は仏前へ供えます。戴き物も供えます。父は毎晩晩酌を楽しんでいましたが、今では盆と正月と祥月命日にだけ焼酎をお供えします。
 私達は嬉しいこと、悲しいこと、困ったこと、ことある度に父に報告します。父の穏やかな顔を思い浮かべながら語りかけていると喜びや悲しみを分かち合えるような気持ちになってくるから不思議です。我が家を訪れた親戚は、まず仏壇の前でお線香を上げます。おじいちゃん子だった息子も東京から帰ってくると、真っ先に仏前に手を合わせて父に挨拶します。
 六年前の父の初盆は、姪がにわかお坊さんになり、心のこもったお経を上げてくれました。テープを購入して熱心に練習した名読経でした。父は合理的な人でしたので、母に許可をもらっての手作りの初盆をきっと喜んでくれたことと思います。
 お盆には母は美容院で髪を整え、素敵なファッションで、帰ってくる父を迎えます。母のお気に入りの盆提灯三対の取り付けと金具磨きは主人の仕事です。小さな漆の食器に父の夕食も準備し、提灯をともして八月十三日の夜を迎えます。弟・妹の家族も揃って迎え火を焚き、家族十五人が揃って父と共に賑やかなお盆の食卓を囲みます。八十四歳の母の笑顔を見ながら、家族みんなで食べるご馳走は最高です。
 最近、父によく「父ちゃん、福留ファミリーは今とても幸せです。お陰様でみんな元気です。このささやかな幸せが末長く続くように見守っていてください。」と語りかけています。父を始め、ご先祖様が仏壇から温かい目で私たちを見守ってくださっていることをしみじみと有難く思うことです。


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