専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第1回わが家のお仏壇物語
我が家の仏壇は賑やかだ。今日この頃は、バレンタインデーのチョコレートが仏前に重なっている。
遠くに住む二人の息子たちが帰省すると、お土産の煎餅の箱や、祖父へ買ってきたお酒が、とりあえず仏壇の前に置かれる。
就職したばかりの息子の、社名入りの名刺もこの仏壇でみつけた。
「名刺を持っているなんて、一人前だね」と息子に声をかけると、「あぁ」という愛想のない短い返事が返ってきた。義母も気がついて、「ありゃあ、名刺だってよ」と大声をあげていた。
一番先に仏壇へ報告、それがいつからか我が家の慣わしになっている。
ボーナスをもらってきたら、まず仏壇。息子たちはちょっといい成績のテスト。時にはコンクールの表彰状。義母にいたっては、頂き物の果物に始まって、定期預金の証書まで供えている。
仏壇の中には、十六年前、病気で亡くなった夫と、事故のために二十七歳で逝った義弟がいる。
チョコレートは義母と私がそれぞれ二個ずつ供えた。義母のチョコレートの方が大きいし、シックな外国製だ。私も頑張ったつもりだが、今回は負けた。
朝、ご飯を供えながら、私の赤いチョコレートを、ちょっと真ん中に寄せてみたりしている。