専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第5回わが家のお仏壇物語
一人暮らしが長く、帰省するのは年に1、2回程度。
お仏壇とほぼ無縁の生活を送っている私だが、最近気づいたことがある。
先日、11年飼っていたウサギが老衰で亡くなった。
ペットとはいえ、長い年月共に暮らしてきた大切な家族。
虚無感に苛まれ、しばらくは事実を受け入れられなかったが、普段は意識することのない「生きる」ということについて、初めて考えるに至った。
その時感じたのは、
生きることは死ぬことであり、死ぬことは生きることなんじゃないかということ。
生きていくうえで「死」というのはごく当たり前の現象で、思っている以上に生活の中にあるものなんだな、と実感したのだ。
ある日、壁に貼ってある元気な頃のウサギの写真を見て、ふとこの一角に「仏壇コーナー」をつくろうと思い立った。
数時間後、ウサギが好きだったお菓子やぬいぐるみを奉った、オリジナルの小さなメモリアルブースが完成。
気が付くと自然に合掌し、写真の中のウサギに話しかけている自分が居た。
仏壇って、日常生活では見えない存在と心の中で対話する時間をつくってくれるものなんだな、と初めて知った。
そうだ。今度帰省してお仏壇にお線香あげる時、おじいちゃん・おばあちゃんの写真の横に、ウサギの写真も置いてこようかな。