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第5回わが家のお仏壇物語

佳作「生かされている私」長坂隆雄(千葉県・男性・82歳)


生前、お仏壇の礼拝を日夜欠かさぬ母に尋ねた事があった。

『死後の世界ってあるのだろうか?』との私の問いに

『死後の世界から生き返った人がないんだから、誰もはっきりと分かる筈はないでしょう。でも、私達を超えた計り知れない大なものによって生み出され、生かされて来たこの世から、あの偉大な懐へと帰って行くのが死だと思うの。お陰様で生かされていると思うと、自然にお仏壇に手を合わせるようになるんだよ』と母は答えた。

私も死後の世界が存在するのか否かは分からない。併し、最近は人間は一人では生きられない、大自然の恵や多くの人々のお世話により生かされている自分である事を感じるようになって来た。

私の眠っている間も、酸素は寸時も消えた事はない。春が来れば自然が芽を吹き、花が咲き、秋が過ぎれば木葉が散る。大自然の摂理に胸打たれる思いに陥る事が多くなった。
 

お仏壇の前に座ると、お陰様との感謝の気持ちで自然と手を合わせるようになった。

先祖の人々が報恩感謝を表す場として仏壇を敬い、敬愛して来た伝統は素直に守って行きたいと思っている。そして、その伝統は次の世代へと継承して行きたいものである。

幸い、子供達も我家を訪れると、必ずお仏壇の前に座り手を合わす事が習慣となっている。

生きていくうえで「死」というのはごく当たり前の現象で、思っている以上に生活の中にあるものなんだな、と実感したのだ。

私にとってお仏壇は、大いなる大自然に対する感謝を表す場であり、先祖の人々との交流の場であり対話の窓口となっている。

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