専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第5回わが家のお仏壇物語
我が家の仏壇に入っている人達のことを考えると、涙なしには語れない。祖父は満州浪人で、馬賊と戦って、胃に穴が開いて病院に入院中に、従軍看護婦だった祖母と結婚し、父を生んで、すぐ亡くなった。父は、終戦間際にロシアの捕虜となって、シベリアで強制重労働をさせられて、栄養失調から敗血症になり、帰国後は病院に入院していたが、退院後も体の調子が悪かった。母は、父の代わりに仕事をして、56歳の若さで亡くなった。
父は幸い86歳まで生きたが、その生き方は、壮絶なものであった。
我が家の仏壇には、戦後の苦しかった我が家の歴史が詰まっていると言っても過言ではない。
そこで一首
「満州の 寒い荒野を さまよいて母は私を リュックで運んだ」直昭