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第11回わが家のお仏壇物語

メイクリーン賞 「我が家の仏壇」 池田一朗(香川県・45歳)


我が家の仏壇が鎮座する部屋は客間である。

特に珍しくはない。田舎の日本家屋となれば葬儀や法事は家で行うため、もっとも広く取った部屋は仏間ということになる。

そのため、祝儀、不祝儀はおろか、親族が集るとき、盆、正月やちょっとした集まりがあるときなどは、その仏間で酒宴をすることになる。それは家が落成して以来、ずっとそうなのだ。

私にとってこの仏間は厳かな印象はない。その部屋は、普段は別々の身内が時に家に訪れたときに集う場所。笑いあって同じ時間を楽しく過ごす、そんな場所なのだ。

無論、厳粛な集まりもあるが、そこは気の知れた身内、そんな中でもいつしか笑っている。

家族が集まれば、ここでご馳走を食べ、酒を飲む。慣習の形式や形、家族の構成は徐々に変化しながら、この仏間で酒宴が行われる。畳のシミや、ふすまの汚れと共に、家族の歴史を刻んでいく。

そしてその姿をいつも、仏壇は静かに見つめている。あるいは宴の好きな我が一族の先祖たちだ、仏壇の向こうで、私たちの様子を肴に、飲んでいることだろう。

私もまた、いつかこの仏壇に入り、孫子が笑っている宴会を眺めているだろう。

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