専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第12回わが家のお仏壇物語
「おはようございます」 ご先祖様とともにわが家の一日が始まる。「みんな元気に起きてきたな」と。毎朝、まずは一杯のお水を差し上げると、ご先祖様たちは「夏のお水は冷たくてうまいな。」とおっしゃる。 朝ごはんの米が炊き上がると […]
「学校連れていこうか」朝食のあとで祖父が言った。 「うーん」と気乗り薄の私。何で連れていこうとするんだろう。物心ついたころから、運動ができなかった。難しい漢字がいくつも並ぶ神経系の病気で、どこかの筋肉を激しく動かすと反比 […]
「えつこ〜、えつこ〜」 生前父は、母の姿が見えないと、いつもきまって縁側から母を呼びました。 一緒にお茶が飲みたくて、好物のきんつばを食べさせたくて、時には、用事がなくても呼んでいました。 やれやれまた呼んでるよ。家族は […]
仏壇はその家のメモリーボックスだ。 私が中学生の頃の話である。 家に昔からあった仏壇は老朽化がひどくなり、買いかえる事になった時の話だ。 それまでは、 「位牌の数が多くて仏様の姿が見えん」 という有様で、古 […]
14年前、57歳で逝った父は、無類の読書好きだった。脳裏に浮かぶ父はいつも書斎におり、机に何冊もの本を積み上げていた。何冊もの本を、同時進行で読むほどの多読家だったのだ。そんな父について、私が18歳の時、書き記した小文が […]
青い海青い空。 ハワイで主人の姪の結婚式に参加した。 式の最後には、両親とハグしてから渡すレイサービスがある。 育てて貰った両親とのハグは見ているだけで、感動して目頭が熱くなった。 そして私の結婚式の時の父を思い出してい […]
「おじいちゃーん、こはるね、頑張って一位になったよ」 二年生の孫が、息をはあはあさせ帰ってきた。持久走大会一位の表彰状を手にして、 「よかった、よかった。さあ、なむなむ様にお知らせしようね」 表彰状を仏壇の前に飾ると、孫 […]
私のおじいちゃんは、私が生まれた年に、亡くなりました。だから、私はおじいちゃんのことは、あまり知りません。知らないことは、いっぱいあるけれど、おばあちゃんに聞くと、いろいろなことを教えてくれます。 最近、なぜかな、と思う […]
「おじいちゃんのゴハン、もう下げちゃうの?おじいちゃん、可哀想だよ!」 仏壇に供えた白飯を三十分足らずで下げた母を私は責めた。 大好きな祖父が亡くなって二か月。毎朝、仏壇に白飯と水を供えるのは私の仕事だった。 「おじいち […]
「高田さんって、毎朝出がけに、お仏壇に手を合わせてくるでしょう?」 職場で席を並べる同僚女性から、ある日、ふいにそう聞かれた。 「そうだよ。でも、どうして分かったの?」 僕は、驚いて尋ね返した。 「朝、高田さんが職場に入 […]