仏壇選びの達人

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第2回わが家のお仏壇物語

銅賞「お仏壇に見守られて」泉祥子(北海道・女性・53歳)


 二十六年前、転勤生活をしていた私達一家のところへ、主人の父から、「一緒に暮らしたい」という申し出がありました。その三年前、母が亡くなり、一人暮らしの大変さや、また何より、寂しい日々が堪えられなかったのだと思います。
 その頃私達は、二部屋の社宅に住んでいました。三人目が生まれ、ただでさえ手狭な所で、六人が住むなど到底無理だったので、一軒家を借りて、父を待つことにしました。そこへ父が持ってきた荷物は、とても一人の引越しとは思えない量で、布団だけでも八袋あり、私達の荷物より多いくらいでした。そして、その中にお仏壇があったのです。若い頃国鉄マンだった父が、転勤のたびに何度も分解しては組み立てた様子がわかる、古くて、金具がはがれてきて、ぐらぐらするお仏壇でしたが、同居後二回転勤し、更にいたみはひどくなりました。ある時、父はお寺さんに「仏壇を新しくしようと思うんだけど・・・」と相談したことがありました。するとお寺さんは、「この仏壇はおじいさんが子供の頃から見守ってきてくれたのだから、おじいさんが生きている間は替えないほうが良いと思いますよ」とおっしゃいました。
 お仏壇は父の部屋にありました。おじいちゃん子だった長男は、いつもその部屋で遊んでいました。わんぱく盛りで、時計や鏡やミシンを次々にこわしたり、外に投げ捨てたりしましたが、お仏壇にだけは触らなかったのが不思議でした。きっと息子なりに感じるものがあったのでしょう。
 息子が五年生の時、父が亡くなりました。病院から帰ってきた遺体に添い寝し、何度も何度も心臓の音を確かめていた息子の姿が忘れられません。
 その後、新しいお仏壇に替え、今度はこのお仏壇が私達を見守ってくれることになりました。息子が、中学生、高校生、専門学校生そして社会人になった姿を、父はきっと生きていた時のように、ニコニコ笑いながら見てくれているのでしょう。
 お仏壇は、生きている私達と亡くなった人達をつなぐ、最も近い場所なのだと思います。だから、いつまでも大切に受け継いでいかなければならないものだと思うのです。

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