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第2回わが家のお仏壇物語

佳作「お仏壇の思い出」堀川真由美(茨城県・女性・38歳)


 私と仏壇の記憶をたどってみると、私が物心ついた頃、母方の祖母の家の仏壇が一番初めに思い浮かびます。
 祖母の家は昔造りの家で、六畳間、八畳間が続き部屋になっていて暗いどんよりとした中に黒光りした物体がありました。それが仏壇でした。
 両親の仕事の関係で祖母の家に預けられていることが多く、夜トイレに行くのにそこの前を通らなければトイレには行けないので、目をつぶって早歩きで通っていた思い出があります。泊った時、夜中はどうしても一人では無理なので祖母を起こして一緒にトイレに行ってもらってました。
 何か悪いことをしたり、いたずらをした時もその仏壇の前に正座させられ反省したことも覚えています。
 夏、雷が鳴っている時祖母は線香に火をつけて仏壇の前で何か呪文をとなえていました。後で聞いて分かった呪文は「クワバラ、クワバラ」鐘もチンチン鳴らしながら。
 子供の頃の仏壇イコール恐いもの、すごいパワーがある所と思っていました。本当に祖母が鐘を鳴らして雷がやみ雲の切れ間から月明かりが見えたことがあったから。
 大人になった今、仏壇は故人との思い出を思い出す場所。自分を反省する場所。その季節はじめてできた初物野菜を供える場所。人からの頂きものを供える所。報告する場所。
 仏壇の前に座りお線香をたいて何もわからない十ヶ月の息子に鐘を鳴らせています。私の呪文は「のんのんチン。おじいちゃん、おばあちゃん」大きくなった時、息子は何を思うか楽しみでもあります。鐘を連打できる日。不発の日。一度きりで終わってしまう日。
 大人になり、母となった今仏壇の前に座ることで自分の気持ちを深呼吸する大事な場所になりました。
 仏壇めがけて一直線に息子はハイハイします。台に手をついて立ちあがり鐘を鳴らす棒を持ち、鐘をチンチン。一日何度も。
 仏壇はその光景を見守る家族が集まる場所ともなりました。

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