我が家の主人は全くお酒が飲めません。長男でひとり息子だから私がお嫁にくる前は、父と母との三人暮らしだったのです。お酒が大好きな父は、どうにかして息子を酒飲みに仕立て上げようかと日夜努力したそうです。しかし、主人に言わせる […]
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父の仕事は仏壇職人である。 私が子供の頃は、毎日父の傍らで、おがくずやら木材の切れっ端を使って、父の真似をしながら遊んでいたのを覚えている。桜や紫檀の木材を切り分け、成形、磨き、漆を塗り、また磨き、もう一度漆を塗り、また […]
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二〇一一年八月九日。私は家族で営む食料品店の店番をしながら、高校野球の秋田代表能代商業を応援していた。そして試合終了。「秋田代表校の勝利は実に十四年ぶり!」との音声が響く。途端に私は店番をすっぽかし、裏の自宅の二階の仏間 […]
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両親は一年以内に相次いで他界しましたので黒檀ならぬ、ヒノキ作りの等身大の仏壇にしました。 以前の金箔の仏壇では黒くすすけてしまっていたからです。 両親とも生前は熱心な仏教信徒でしたので奮発したのです。仏壇に向かう都度 […]
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横浜にある妻の実家の宗派は真言宗である。日頃は99歳になる母が「南無大師金剛遍照」と真言を唱えながら仏壇を守っている。 母には4人の子供がいる。それぞれ所帯をもって比較的近くに住んでいるので、正月だ、母の日だ、お盆だ、 […]
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我が家の仏壇には、四柱の位牌がある。 そのうち一人は平成3年に僕に対して「努力しなさい」 といって亡くなった全盲の祖母である。 その他の3人は、父の妹で享年1歳の人、父が14歳の時に亡くなった、父にとっての父すなわ […]
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不慮の事故で父が他界して、一年程経ったある日、二人の見知らぬ男が訪ねて来て、仏壇の前に正座して号泣した。 「せっかく戦争で生き残ったのに――」 戦時中、中国大陸で父に命を助けられたのだという。 「敵兵に取り囲まれた私達 […]
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このお仏壇が我が家にやってきたのは3年半前、4年半前に他界した父の一周忌の前でした。新潟にお墓もお仏壇もなく、父の他界を機に母が支度をしました。「お父さんの為!の仏壇を作りたい!!」母は職人の方と話をし、二つのお願いを仏 […]
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まず、朝起きたらお仏壇の前に座る。早起きの母が既に、お仏壇の扉を開け、過去帳を捲り、一番茶をお供えしてある。 「おはようございます、いつも見守ってくださってありがとうございます。今日も一日がんばりますね」 ご先祖様みんな […]
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『夏のボーナスは無いから』 父が母に言った一言を聞いたのは、私が小学校3年生の時。父の言葉の真相は、夏のボーナスで仏壇を買う、既に予約もしてきたでした。 母は反対も怒りもせず、その夏我が家に仏壇が届きました。当時は何 […]
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