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第4回わが家のお仏壇物語

佳作「大切な存在」横山 あい(群馬県・35歳)


まず、朝起きたらお仏壇の前に座る。早起きの母が既に、お仏壇の扉を開け、過去帳を捲り、一番茶をお供えしてある。 「おはようございます、いつも見守ってくださってありがとうございます。今日も一日がんばりますね」 ご先祖様みんなにそう伝えて、私の一日は始まる。お仏壇に座って上を見上げると、まるでお寺に行った時みたいなあのすっとした空気が感じられる。
 私は日常の嬉しかったことや悲しかったこと、仕事の愚痴や、悩みごとなんかも、ご先祖様に報告というか、聞いてもらっている。それは、一緒に住んでいる祖父母に「ねぇ、聞いてよ~」という感覚に近い。  夜、晩酌をするときは必ず、まず先にお仏壇にお酒を持っていく。二十歳になった頃には既に体調が悪く、一緒に楽しいお酒を飲んだことがない祖父とお酒を一緒に飲んでいる気分になれるからだ。
 我が家に過去帳が登場したのは確か三年前くらいだが、ご先祖様の月命日が分かるというのも、何だかうれしい。決して命日を喜んでいる訳ではないのだが、一人一人のご先祖様の名前と亡くなった日を過去帳で見ると、この人達がいてくれたから今の私に命が繋がっていることが、とても現実感を伴って感じることができる。ほとんどのご先祖様に私は会ったことがない。写真で見たことがあるのだって、曽祖父、曾祖母までだ。でも、毎日捲る過去帳はそれらの人々の存在をあたたかく私に伝えてくれる。そうして、沢山の人達のお陰で今の私がいると思うと、少し落ち込んだことがあっても、何だか元気をもらえる。全てのご先祖様が私を応援してくれているんだな、と思える。
 守られている、見てくれている、ざわざわしたあたたかい人の気配を感じる、私にとってお仏壇はそんな大切な存在です。

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