専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第12回わが家のお仏壇物語
私のおばあちゃんの家にある仏壇は宙に浮いている。小さい頃から気になっていたので、私は母に聞いてみることにした。すると母はこう言った。
その仏壇は、生後6ヶ月でこの世を去ってしまった祖母の長男のためのものだった。昔、仏壇を置いていた部屋は日当たりが悪く、それにほとんど人が行かない部屋だったので、祖母がご飯やお花をお供えに行くとき以外は暗い部屋に1人ぼっちだったという。可哀そうだと思った祖母が、いつも人がいて笑いの絶えないリビングに仏壇を置こうと言った。だがリビングには家具やピアノが置いてあり、仏壇を置く場所はなかった。すると、壁掛け仏壇という方法を選択し、ピアノの上に仏壇を置いたのだ。だが、一昨年前に大阪北部地震が起こり、祖母が二階で寝るのが危険になったため、それまであったピアノを撤去して、そこに祖母のベットを置くことになった。
今では祖母のベットの上に宙に浮いた仏壇が置いてある。危険だよ、と伝えても祖母は近くにいれて嬉しいと言っている。いつまでも自分の子供を大切に思う祖母の姿がそこにはあった。