専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第12回わが家のお仏壇物語
「じぃちゃん、今日は成人式やったよー。」
昨年7月、あっという間に旅立った祖父に成人式の報告をする末娘。
さっと手を合わせ、くるりと向きを変えると
突然、興奮気味に語り出す。
「小学校の先生がきてくださってたわ。」
「お友達の雰囲気変わってて、わからんかった。」
「天気よすぎー、暑かったわー。」
晴れ着を着て、きれいにお化粧して、見た目はお姉さんになったような気がしたけれど。
成人式の意味を心得ているのか どうだか。
不安も感じるところだが、
とりあえず、楽しい時間を過ごせた様子にホッとする私。
娘はあれよあれよと語り続け、ひと息つくと、
くるりと仏壇の方に向きなおし、
「これからも、ずっと見守っててネ。じぃちゃん。」と
再び手を合わせ、一礼。
スーッと立ち上がり、ぴょんこぴょんこと仏壇を後にした。
「着替えるから、手伝ってー。」と別室から 声がかかる。
私は苦笑いしながら
「お義父さん、4人の子供たち、みんな無事に成人式を迎えられましたよ。ありがとう。」と
優しさあふれる義父の写真に語りかけ、合掌したまま娘のところにいそいだ。