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第15回わが家のお仏壇物語

金賞「家族写真は仏壇の前で」 森岡剛洋(三重県・50歳)

ひさしぶりに三人で写真撮ろうか。

私は父と叔父さんの三兄弟を仏壇の前で撮影した。おそらく何十年かぶりの記念写真だった。とても和やかな雰囲気で、写真をスマホに転送すると、顔を寄せ合って小さな画面を見てみんなで笑っていた。その時は、まさかその写真が遺影になるとは夢にも思っていなかった。

半年後、私の父の弟である叔父さんが亡くなった。とても唐突に起きた病死だった。コロナ禍の中、粛々と最小限の葬儀が行われた。

後日、もう一人の叔父さんが私に言った。

ありがとうなあ、全然写真がなかったんだけど、あの時に写真を撮ってもらって、ほんとにあの写真があってよかったよ。

もう二度と三人そろうことがなくなってしまった今、この写真は貴重な一枚となった。

この写真を撮った時は私の祖母の、父と叔父さんの母親の法事の時のものだ。三人ともいい顔して写っているなと、あらためて写真をながめていると、仏壇の向こうにいる祖父母も一緒に撮影したような気がしてきた。仏壇の前で写真を撮るということは亡くなった方とも一緒に家族写真を撮るということなのか、と不思議な感覚になった。

写真がその一瞬を永遠に変えるように、その一枚を見るたびにそこに写っている人、その時のことを思い出す。仏壇もその前で手を合わせれば、その人のことを思い出す。写真も仏壇も今ここに残された人たちを結び付けるものだ。私はこれからも毎年仏壇の前で家族写真を撮影していく。

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