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第15回わが家のお仏壇物語

佳作「夏休み」 厨子福恵(岡山県・37歳)

 蝉がミンミンミンミー、ツクツクボーシと縁側まで夏を届けにきている。

毎年、盆に私は実家に帰省する。

両親の安否確認と、墓参りをするためである。

それともう一つ、小学生の我が子もじいじ、ばあばに年に数回だが、会えることをとても楽しみにしている。

一年生になって、初めての夏休みだ。

 車で片道二時間半かけて、やって来た。

夏休みの宿題は、朝にすることが私の幼少期からの日課である。ここ、田舎には、クーラーはない。網戸で風通しも良く、心地よい風が自然と入ってくる。自然型扇風機だ。寝る時は蚊帳のなかに入って夜長を過ごすこともある。

 それもそのはずだ、家の前には小川が流れているから川遊びも自由だ。メダカもスイスイと気持ちよさそうに泳いでいる。

 日課といえば、鈴を三回鳴らし、朝の題目を唱える。妊娠中も「南妙法蓮華経」を毎日唱えていた。願いはただ一つ、「この子が元気に生まれてきますように」と。

 今、線香とロウソクに火をつけて、長男が鈴を三回鳴らしてくれた。

「ママのお腹の赤ちゃんが元気で無事に生まれますように」

ロウソクの火がゆらゆらと揺らめいた。

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