専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第15回わが家のお仏壇物語
蝉がミンミンミンミー、ツクツクボーシと縁側まで夏を届けにきている。
毎年、盆に私は実家に帰省する。
両親の安否確認と、墓参りをするためである。
それともう一つ、小学生の我が子もじいじ、ばあばに年に数回だが、会えることをとても楽しみにしている。
一年生になって、初めての夏休みだ。
車で片道二時間半かけて、やって来た。
夏休みの宿題は、朝にすることが私の幼少期からの日課である。ここ、田舎には、クーラーはない。網戸で風通しも良く、心地よい風が自然と入ってくる。自然型扇風機だ。寝る時は蚊帳のなかに入って夜長を過ごすこともある。
それもそのはずだ、家の前には小川が流れているから川遊びも自由だ。メダカもスイスイと気持ちよさそうに泳いでいる。
日課といえば、鈴を三回鳴らし、朝の題目を唱える。妊娠中も「南妙法蓮華経」を毎日唱えていた。願いはただ一つ、「この子が元気に生まれてきますように」と。
今、線香とロウソクに火をつけて、長男が鈴を三回鳴らしてくれた。
「ママのお腹の赤ちゃんが元気で無事に生まれますように」
ロウソクの火がゆらゆらと揺らめいた。