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第15回わが家のお仏壇物語

佳作「我が家の仏壇」 畠山隆幸(長野県・71歳)

 我が家の仏壇は、私が小学校二年生の時だった。今は亡き父が、購入した仏壇だ。父は当時、営林署に勤務していた。我が家は、私の祖父母から始まった。私で三代目だ。私の幼い頃の仏壇は、直接壁に作り付けの仏壇だった。多分明治時代に、作られたものであろう。昔の紫檀か黒檀で、作られていた。黒光りがする、年月を感じされる仏壇だった。私が幼い頃、必ず朝夕仏壇に線香をあげて拝んでいた。多分、何処の家々もそうだろう。そんな祖父母・父母の姿を、見て育ったので私も毎朝・夕に線香をあげている。一日の安全・健康等を願い、先祖様にお祈りするのだ。仏壇を持つ家庭では、皆している事だ。日本国内に四千万個の仏壇が、あると仮定すれば四千万通りの仏壇に、まつわる話がある筈だ。前記した、私が小学校二年生の時の話に戻そう。私の父は、現在の仏壇を購入した。当時の父の心は壁に作り付けの仏壇から考えれば、新しく購入した仏壇への思い入れは、相当なものだったと考える。父はお寺の住職を家に呼び、いわゆる「新しい仏壇の魂入れ」行った。私も記憶している。父は昭和六十年「咽頭癌」に、罹患して天国へと旅立った。前記した事が、我が家の仏壇物語だ。日本中に、数え切れない程の仏壇がある。その数だけ仏壇物語がある。

 私の年齢も、数えで七十二歳だ。今年の干支は、ウサギだ。口うるさい友人からは、「野人みたいなお前がウサギ年とは、信じられない」と云われる。現在、私は地域のシルバー人材センター草刈り班に所属して、草刈りを生業としている。「ビーバー」と呼ばれる草刈り機械を使用して草を刈るのだ。草刈りをしている時大きな声を出すので、友人から「野人」だと云われるのだ。別に人に迷惑をかける訳でも無し、現在のままで良いと私は思っている。死ぬまで、毎朝線香をあげ続けたいと思っている。

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