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第15回わが家のお仏壇物語

佳作「わが家の自慢のお仏壇」 前川陽子(兵庫県・59歳)

 私の実家のお仏壇は浄土宗なので、黒漆塗りの金箔が施された豪華なもので、戸扉が片方三枚ずつあります。幅の広い立派なお仏壇です。主人が初めて実家に来た時に、「立派なお仏壇やな。」と驚いていました。

 五十二年前に父方の祖父が亡くなった時に父が購入しました。以降、お仏壇は実家の床の間に君臨してきました。私が二十一才の時に父が経営していた会社が倒産してしまい、それからというもの引っ越すこと三回、四軒目にしてやっと今の家に落ち着いています。引っ越す度に仏具屋さんに運んでもらい、いつもお仏壇はいっしょでした。父は今まで住んでいた家より狭くなってもこのお仏壇を絶対手放さず引っ越してきました。

 中に安置してある御先祖様方も落ち着けなかったのではないかと思います。御先祖様方とはしゃべることはできないので、何らかの手段をもって訴えてこられたかと思いますが、私はまだ若かったために気付くことはありませんでした。今なら私も年をとった分、いろいろな経験もあり、気付くことはできたと思います。今は父も他界したので、代が変っていますが、お仏壇は以前と同じように君臨しています。実家を訪ねた折には、父をはじめ御先祖様方にお線香をあげたいと思います。

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