専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第15回わが家のお仏壇物語
祖父は97歳、祖母は99歳で天寿を全うした。
実家の床の間に現代仏壇が設置され、先祖代々の位牌を初めて手に取ってみた。
位牌は5人分あり、後ろには名前が書いてある。
どなたの位牌なのだろう。
私は気になって、両親に確認しながら家系図を作ってみた。
そして整理するうちに、位牌のご先祖が判明した。
曽祖父母、高祖父母、祖父の叔父の5人であった。
長崎県にルーツを持つ家だとは知っていたが、曽祖父の兄弟は11人でそこから派生した親戚の数は200人以上になる。
分かる範囲のご先祖は、江戸時代末期まで遡ることが出来た。
そんな歴史の教科書に載っていそうな時代から血が繋がっているのだと私は深く感動した。
連綿と血は途絶えず、自分の代までやって来たのだ。
役場に勤めていたという曽祖父、京都の老舗料亭の娘だった曾祖母、大工の祖父、バスガールだった祖母、そして両親。
私の身体の中には、ご先祖の個性とエネルギーが宿っている。
「今日も元気に行って来ます」
私はお仏壇に深々と頭を下げ、仕事に向かう。
「いってらっしゃい」と、ご先祖が応援してくれる日々に感謝である。