仏壇選びの達人

専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報

第15回わが家のお仏壇物語

メイクリーン賞「仏さま、こんにちは」 大栗実(大阪府・74歳)

 

わが家に遊びに来た孫は、お仏壇に手を合わせることが習慣になっています。季節の果物やお菓子をお供えしたり、おさがりを頂いたり、孫にとってはおままごとのような楽しさなのでしょう。

 お仏壇の真ん中には、阿弥陀如来さまが立っておられます。ある時、お仏壇のなかをじっと見ていた孫が「バイバイしてる」と言うのです。そういえば阿弥陀さまは右手を上げておられる…。このことだなと思った私は「バイバイじゃないよ、こんにちはだよ。よろしくね、とおっしゃってるんだよ。」と孫に伝えました。

 とくに信仰心が篤いわけでもない私でしたが、仏さまがバイバイと去って行ってはいけない、仏さまを身近に感じてほしいと、とっさに出た言葉でした。

 子どもたちにとって仏壇があることはとても良いことだと思います。今、営んでいる日常とは別に、深くて大きな世界を感じることができるからです。仏壇がなければ言葉で説明するのは難しいのではないでしょうか。

 「まんまいちゃん(仏さま)はいつも見てくださっているよ」と教えられて育った私は、つらい時、心配事がある時など知らず知らずのうちに仏壇に手を合わせています。具体的なお願いをするわけではないのですが、気持ちが軽くなるように思います。孫にもこの安らぎと畏怖る気持ちを大切にしてほしいと願います。

 お仏壇は小さな寺院だと聞いたことがあります。専門の技術をもった人々が手から手へ、心から心へ伝えてきたものがお仏壇の隅々に息づいているからこそ、敬意を持って素直に頭を下げられるように思います。これからもお仏壇を大切に守っていきます。 

仏壇公正取引協議会
祈ってみよう、大切な誰かのために。PRAY for (ONE)