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第13回わが家のお仏壇物語

佳作「孫のお祈り」 工藤哲治(青森県・62歳)

「チーン、チーン、チーン」

朝の静けさを打ち破るように、仏間にお鈴の音が響き渡った。

東京から帰省した娘夫婦の子どもたちが、我先に仏壇の前の座布団に向かう。今日はどちらがお鈴を鳴らすかで、可愛い争いを始めたようだ。

勝負に勝った二歳の妹が、嬉しそうにはしゃぎながらお鈴を鳴らす。

四歳になるお兄ちゃんは両手を合わせてから、おもむろにお祈りを始めた。

「今日も新しい一日が始まりました。おいしいご飯を用意してくれて、ありがとうございます。でも、ご飯を食べられないお友だちもいます。そのお友だちもいっぱいご飯を食べられますように」

 小さな子どもとはいえ、そのお祈りの内容の立派さに、目をウルウルさせながら聞いていた。還暦過ぎの私でもそんなことは思い浮かばない。

「……、アーメン」

えっと思ったものの、すぐに合点がいった。そう言えばお兄ちゃんはミッション系の幼稚園に通っていたのだ。毎日お昼ご飯の時には、そのようなお祈りを捧げているという。

「まあ、いいか。神様であろうと仏様であろうと、こうやって手を合わせていることが大事なんだ。うちのご先祖様は、お祈りの仕方の違いなんかで怒ったりしないよ」

 私は孫たちの後ろ姿を微笑んで見ながら、そんなことを思った。

 最後にもう一度、孫たちは二人でお鈴を鳴らし、歓声を上げながら居間へ駆け抜けていった。

「チーン、チーン」

ご先祖様、今年も賑やかなお盆がやってきましたよ。

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