仏壇選びの達人

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第13回わが家のお仏壇物語

佳作「歳を重ねる仏壇」 諸見里美紅(沖縄県・23歳)

 

一七年前、家を建てた。その時から準備されていたあの場所は一瞬にして本当の姿である仏壇になった。こんなに早く、仏壇が完成するなんて思ってもいなかった。命が二〇歳で終わるなんて、誰も思ってなかった。未完成の仏壇が完成する瞬間、家族は

「死」を受け入れる覚悟はできていなかった。

兄の位牌が入り、兄の写真が置かれてもなお、向き合えなかった。

親族が「線香の光は、亡くなった人にとってとっても綺麗に見えるんだって」と言った。私たちは、仕事に行く前に線香をあげ、報告したいことがあれば線香をあげた。私たちが悲しい気持ちでも嬉しい気持ちでも、「綺麗な光」としてあの世から見えているのならば何度でも線香をあげようと思った。

仏壇に向かう回数を重ね、月日が経ち、私たちは、徐々に「死」を受け入れていくようになった。兄が生きていたならば現在二六歳。学生時代の兄の写真は家族の気まぐれで二歳の兄になったり、小学生の兄になったりする。

私たちにとって、仏壇とは報告の場所である。同時に兄が生きていた頃には尽くしきれなかった家族の想いを受け止める場所である。大掃除で兄の写真が出れば、まずは仏壇に置いて、写真が見つかったことを報告する。誰かの誕生日が来たら、そのことを報告する。新しい命が我が家にきたら、まずはこの仏壇がどんなに大事であるのかを説明する。親戚の子はこの場で正座を覚え、線香の匂いを覚える。

兄の命は確かに生きたことを証明し、これからも家族を守ってくれることを誓う。我が家の仏壇は、気まぐれに光を灯し、気まぐれに写真が変わる。生きていた時の年齢から毎年、歳を重ね、すこしだけ湯飲みも、渋くし、変化し歳を重ねていく。

仏壇公正取引協議会
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