専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第13回わが家のお仏壇物語
主人が膵臓癌と宣告され亡くなって早や八年が過ぎました。66才というこれからの年齢で残念ながら旅立ちました。手遅れと言われ三ケ月で愚痴ひとつ言わず、主人らしい最期でした。遠く離れて暮らす息子達は日頃の沙汰を取りもどすが毎く、休みの許す限り父親に逢いに帰省してくれました。話す言葉は短かく、どんな言葉をかけて励ましてやっていいのか、息子と主人の様子を見ていて手に取る様にわかり、私もつらかったのを覚えています。願いむなしく主人は天国へといきましたが、葬儀の際の弔問客の多さにも感謝しつつ主人は幸せ者だったと思いました。しばらくしたある日、息子達から「お父さんの仏壇は俺達が決めるから待っといて」と。私も案じながら気にしていた矢先でしたので、とっても嬉しい一言でした。今までの親孝行不足をかばうかなごとく。それから数日間はラインとメールと写メで、寸法や色、型などの打ち合わせをして、後日決して大きくはないけど我が家に見合った仏壇が届きました。きっと主人も「居心地いいぞ、有りがとうな」と言っている様な……。私も満足で嬉しい限りでした。そして、息子達は二人共帰省するたびに、当然のごとく仏壇の部屋に、しかも前に布団を引いて寝ます。一番我が家で落ち着く場所見たいに……。私も嬉しい事や、悲しい事など手を合わせては報告をします。今は仏壇のまわりには、私の手作りの鳥取和紙で作った灯りと、お地蔵様四体と手作りの掛け軸とで飾っています。そして知った亡くしてわかる「感謝」と「生かされている事」を心にとめ、あなたも少し私はこちらで息子達の為に頑張りたいのでよろしく頼みますネ。