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第13回わが家のお仏壇物語

佳作「空」 秋葉さし(東京都・28歳)

おじいちゃんとおばあちゃんのお仏壇の上には「 空 」の文字がある。

おじいちゃんが亡くなったときに、お坊さんに貼るといいよ、と教わって、おばあちゃんが貼ったものが今でも貼られている。

その「 空 」という文字を私はとても気に入っている。

思い返せば、おじいちゃんは旅行が好きだった。

時間があれば、旅行仲間と空を飛んで旅をし、その思い出を写真とともに見せてくれた。

「今度一緒に行きたいな」と言われるたびに、幼かった私は嬉しい気持ちになり、「絶対一緒に旅行に行こうね!」と約束し、一緒に出掛けることを楽しみにしていた。

おばあちゃんはそのやり取りを隣で微笑みながら見ていた記憶がある。

おじいちゃんの影響からか、私も旅行が好きになった。

おじいちゃんとおばあちゃんとたくさん旅行に行き、一人旅もするようになった。

しかし、私が成長し、仕事を始め、生活が忙しくなってきた頃には、おじいちゃんとおばあちゃんは旅行に行くのが難しくなってしまった。

それでも、「絶対一緒に旅行に行こうね!」と約束していたが、とうとうその約束は叶うことなく、二人は旅立ち、今ではお仏壇に仲睦まじく寄り添って並んでいる。

おじいちゃんとおばあちゃんと旅行に行けなかったことを後悔していたある日、旅先でふと空を見て、「 空 」の文字の下におじいちゃんとおばあちゃんが仲睦まじく並ぶお仏壇を思い出した。

おじいちゃんとおばあちゃんと旅行をすることはできなかった。

しかし、お仏壇を思い出し、おじいちゃんとおばあちゃんが私と一緒に旅行に来て、みんなで同じ景色を見ている気持ちになったのだ。

旅先から帰り、おじいちゃんとおばあちゃんが仲良く寄り添っているお仏壇に手を合わせ、

「やっと旅行にいけたね。」と伝えると、二人が微笑みながら「楽しかったね。」と言っている気がした。

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