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第13回わが家のお仏壇物語

金賞「天国からのメッセージ」 小松崎佳代子(埼玉県・37歳)

 

昨年、父が交通事故で亡くなった。医師が言うには即死。ポケットのスマートフォンは充電が入るのに、父が目を覚ますことはなかった。突然の別れにしばらく何もできなかった。昼間はその死を受け入れても夜になると急に身震いする。どれだけ相手を恨んだかわからない。どれだけ泣いたかもわからない。

四十九日を終え、やっと仏壇を準備できたのは半年後のことだった。毎日手を合わせ、父のスマホを充電する。それが私の日課となった。そんなことをしても父はもういないのに。

忘れもしない十月三十日。朝食の準備をしていると、突然仏壇に置いてあった父のスマホが鳴った。先日解約したはずなのになぜ。

「もしかしてお父さんかしら」

母が期待を寄せる。

「何言ってるのよ!気味悪い」

妹が顔をしかめる。それでも誰もスマホを見ようとはしない。

しかし鳴り止まない着信音。

「ほら、佳代子。ちょっと見てちょうだい」

私は恐る恐るスマホを覗いた。

画面を見るなり、言葉を失った。

『佳代子の誕生日』

実を言うとこれはスケジュール帖のアラーム機能で、父が生前に設定していたものだった。

「何よ。お父さんってば」

想定外の父の計らいに私は胸がいっぱいになった。

思い返せば父は家族の誕生日を大切にする人だった。わざわざ産まれた時刻に「おめでとう」を言いに来て、仏壇にも「佳代子が無事に誕生日を迎えました。ありがとうこざいます」と手を合わせる人だった。そんな姿を見て、家族とは仏様になっても心でつながるものだと思った。

まるで天国からのメッセージに、私は嬉しくて、切なくて、泣いてしまった。

本当は今年も言いたかっただろう。来年も。再来年も。きっと、今だって、本当は。
私たちは肩を寄せ合って泣き、泣いたあと仏壇に手を合わせた。

「お父さん、ありがとう。ずっと、っと愛してるよ」

その声は、きっと、天国に届くと信じている。

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