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第13回わが家のお仏壇物語

佳作「お酒地獄」でお願い事 西 隼也(兵庫県・22歳)

 

座布団を敷き、手を合わせる。

お仏壇と向き合いながら「今日一日よろしくお願いします」とお願いをして何回目になるだろうか。祖父母の家からお仏壇がやって来て3年が経ち、ほとんど毎日手を合わしているから数えきれない。

元々、お仏壇は父方の祖父母の家にあった。訪れるたびに手を合わせ、何かお願い事をする。ある時、お仏壇に飾られた曾祖父や曾祖母の写真を眺めながら、横に座る祖母にチラリと目をやった。すごく似ている訳ではないが、曾祖母のやさしそうな目元はそっくりだ。

「やさしそうに見えるけど、すごく厳しかったんよ」と祖母は教えてくれる。お供えしている和菓子を手に取り、包みを開けながら話をつづけた。

「ひいばあちゃんはね、和菓子が大好きやったんよ。だから和菓子をお供えして、天国でいっぱい食べられるようにしてるんよ。天国やのに『和菓子地獄』や」。関西で生まれ育った祖母らしく、冗談を交えながら、幼い私にいろいろと教えてくれた。

6年前の冬に祖母は亡くなった。後を追うようにして、4年前には祖父も亡くなった。お仏壇に飾られている写真には祖父母が加わり、多くのご先祖さまが家を見守ってくれている気がする。

改めて祖母の写真と父を見比べてみると、似てはいないが面影が残っている。もし、私に子どもができれば、父は祖母について

「やさしい冗談好きの関西人」って言うと思う。父からすれば、怖く厳しい母だったかもしれないが。

お仏壇が家に来てから、お願い事とお供えものは欠かさない。祖母は「甘酒」、祖父は「日本酒」。種類は違えど同じ「お酒」じゃないか!

天国でいっぱい飲めるようにお供えをする。『お酒地獄』だと二日酔いとか大丈夫かな。アルコール依存症にならないよう気をつけながら、見守っていてほしい。

お仏壇は、記憶を蘇らせてくれる。多くの思い出を胸に、またお願い事をする。

「今日一日よろしくお願いします」。

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