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第13回わが家のお仏壇物語

メイクリーン賞「宗派を超えての親の供養」 入宇田尚樹(北海道・69歳)

 

義母の最晩年の時のこと。妻から「おばあちゃんが亡くなったら、仏壇はどうなるか心配しているよ。お父さんからおばあちゃんが安心するように言ってあげたら」という話があった。一人っ子で一人娘の妻、単身赴任中の私。そのような状況から義母には、先行きのことで、頭によぎるものがあったのだろう。よい機会を見つけて義母に「私たちが生きている間は、必ず仏壇は見るからね。安心して。粗末には扱うことはしません」と私たち夫婦で話し合っていたことを言うと、安心したかのように「ありがとう。頼むね」と言って安堵してくれた。

そして平成21年3月29日 孫を含め5人に看取られながら旅立つことになった。義母の住まいは、妻が一人住み、義父母の供養をすることになった。

そのあと、平成27年1月16日私の母もなくなった。すでに他界していた父とともにその位牌は、長男が供養することになった。しかし、私には一抹の寂しさを拭い去ることができなかった。実父母の供養もそば近くでとの思いを抑えることができなかった。しかし、義父母と実父母の宗派の違いが、私の双方の親の供養の思いに大きくのしかかっていた。お参りをいただく東本願寺派・教誓寺、実父母が檀家であった曹洞宗大英寺住職に相談すると「一人っ子同士の家庭が多いこれから、宗派が違っても双方供養する形でも、むろん双方の親も喜ぶことでしょう。」その言葉に意を決し、義父母の仏壇のそばに実父母の遺影供養台と位牌を置くことにした。毎日、義父母には「南無阿弥陀仏」と五回唱え、実父母には「般若心経」を唱えている。宗派の違いを超えて、実父母と義父母のお参りで、一日が始まる。それは穏やかな気持ちでかけがいのもの。妻も同じ思いであろうと思う。そして子、孫たちが帰省した折には仏壇にお参りし、その前での会食、きっと実父母と義父母も孫、ひ孫たちの成長に心穏やかに目を細めていることであろう。

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