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第17回わが家のお仏壇物語

佳作「伝説のお仏壇」阿江美穂 (兵庫県・72歳)

私の実家のお仏壇には、ちょっとした伝説がある。

それを言い出したのは、二年前、九十八歳で亡くなった母である。

毎朝夕、お仏壇に手を合わせお経を唱え、その後に子や孫、曾孫の名前を延々唱えて無事を祈り、感謝をするのが母の日課であった。

ある時、そのお仏壇の天井から大きな蛇が出てきたと言うのである。それも、真っ白な蛇だったとか……

実家の母屋は築百数十年を越す歴史があり、元々は藁ぶき屋根だったところにトタンを被せた大きな家であった。

だから、天井裏には色んな生き物がいてもおかしくは無かった。

私と妹も子どもの頃、白い蛇ではなかったがお仏壇から青大将が出てくるのを目撃したことがあり、母の話を信じることにした。

また、母の言う「お仏壇から出て来る白い蛇は、この家とこの家に繋がる皆を守っている」ことも信じることにしたのだ。

そして、そのお仏壇の伝説を更に強固なものにしたのは、この私である。

母の一周忌を前にお仏壇の掃除をしたときのことであった。

お仏壇の一番上におられる大日如来様の厨子を動かしたとき、その下になんとヤモリが二匹いたのだ。

しかも、真っ白なヤモリである。

確か、真っ白なように見えた。

ヤモリは、あっという間にどこかに姿を消してしまったが、私は見た瞬間、この白いヤモリの夫婦がこの古い実家を倒れないよう守ってくださっていたのだと確信した。

この話はもちろん一周忌に集まってくれた皆に話し、皆で一層畏敬の念をもって仏壇に手を合わせたものである。

お仏壇には、有り難いことを素直に信じさせてくれる有り難いパワーがあるのだ。

どうやら、私も母に似てきたようである。

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