仏壇選びの達人

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第17回わが家のお仏壇物語

佳作「西空に沈む太陽」三宅隆吉 (福岡県・85歳)

妻と一緒に仏壇を磨いた。亡き父も母も喜んでくれていることだろう。
月に一度ご住職から話を聞かせて貰っている。今月はご仏壇についてであった。

「ご仏壇は世界最高の芸術品だ」と言われた。説明を受けてなるほどと納得した。つるりとした木の美しい茶色の仏壇は心を落ち着かせてくれる。細部まで施された芸術の世界は素晴らしい。

静かに毎日手を合わせていると不思議に回りの人や今ある環境に感謝する気持ちが湧いてくるようになった。

忙しく流れるように過ぎていく日々の中で一日に一度手を合わせるときが、立ち止まり、反省の時になっているのだった。父が日頃からよく言っていた、「お陰さま」ってこういうことかと思った。

足に障害のある私は辛い経験をすることも多い。手を合わせることで心の安らぎを感じている。

お盆が近づくと誰もが今は亡きあの人この人のことがなつかしく思い出され、酷暑が続く日々なのに、身辺は深々と慕わしい情緒に満たされていく。この世とあの世、生と死の間に心を遊ばせ、自然と神妙な気持ちになる。これも長い間に培われた日本の伝統文化の賜物といえよう。これからも我家では大切にしていきたいと考えています。

この部屋では週に一度、小5と中2の孫娘と習字とてん刻の稽古をしています。稽古が終ったあと私の拝む姿をみて、孫達も仏壇の前で手を合わせるようになりました。孫達はまだお仏壇の前で手を合わせる意味はよく理解はしていないと思います。私がかってそうであったように。最初はそれでいいのだと思い、今は静かに見守っています。

西空に沈む太陽が爽やかだ。仏様を貴び世の中のお役に立つことを考え、感謝し、誠実な日々を送りたい。

仏壇公正取引協議会
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