仏壇選びの達人

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第17回わが家のお仏壇物語

佳作「住み心地は、いかがですか?」漆原香里 (千葉県・58歳)

我が家のお仏壇は、真っ白でコンパクトなお仏壇だ。白を基調とし、こじんまりとした我が家のマンションにぴったりのお仏壇である。実家を処分するにあたり、一人娘の私が4体有る位牌を引き取り、魂抜きをしてもらい、新しい仏壇と位牌を設置したのだ。

私の父、父方の親族、母方の祖父母が、開眼供養した繰出し位牌の一つ屋根の下に住んでいる。毎朝お仏壇と位牌を綺麗に磨き拝んでいるが、特に私が気にかけている方が居る。母方の祖母だ。

祖母は60歳で亡くなっている。今の私の年齢と殆ど変わらない年齢で亡くなってしまったのだ。祖母が逝去した時、私はまだ3歳になったばかりの上、同居していなかったので、殆ど顔は覚えていない。だが位牌を引取って改めて年齢を見た時、「お祖母ちゃん、幸せな人生送れたのかな。今の私と同年代で亡くなるまで、沢山の人達の世話ばかりだったはず。7人の子育て、義父母の世話、そして家事の他に農作業も。本当に大変な人生だったんじゃ。」と思った。二人しか育てていない私でも、子育てと家事と仕事の3本立ては、辛くて大変な事の繰り返しだった。だからだろう、同世代の女性の目線で見てしまい、どうしても祖母が気にかかるのだ。

祖母が生前どんな思いを抱いていたかは、今は知る術もない。だからこそ、「せめて今はゆっくり寛いでもらいたい。」そんな気持ちで毎朝、位牌を綺麗に磨き、仏壇を拭いてお供えをした後、リンを鳴らして拝む。

「お祖母ちゃん、今日の住み心地はいかがですか?気になる所はない?今日もゆっくり寛いでね。それで気が向いたならば、私達家族を見守ってくれると嬉しいです。」

こんな言葉と共に。

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