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第3回わが家のお仏壇物語

銀賞「仏壇からの教え」清水亜紀子(福井県・36歳)

結婚して二年目、私は心の病になった。

仕事と家庭、その他にも多忙が重なり、気が付かないうちにストレスを抱えてしまった。笑うことも忘れ、ふさぎ込み何もできなくなってしまった。家族はそんな私を見て心配し、一刻も早く良くなることを願い、遠くの病院に入院させることにした。

入院後、徐々に回復してきたものの、自分が生きている意味を感じることができず悩み続けていた。

そんな時、夫が毎朝晩、仏壇に手を合わせるようになったと聞いた。「ご先祖様、どうか妻を助けてやってください」と。そして、夫の祖母が毎日、般若心経を書き仏壇に供え、病気が治ることを祈ってくれているということも知った。

私は一人病室で、夫と私、祖母が写っている写真を眺めながら結婚式当日のことを思い出していた。夫の家に嫁ぐ日、式場に向かう前に夫の家の仏壇に参って欲しいと頼まれた。結婚をし、この家の一員になることをご先祖様に一番初めに報告して欲しいという夫の家族の願い。

私は、仏壇の前に座った時、仏壇の立派さに驚いた。私の実家にある仏壇の二倍以上の大きさ。そして、何より仏壇に奉られたご先祖様の数の多さに驚き、重みを感じた。代々受け継がれた家の歴史を感じ、私もこの家の一員になりがんばっていこうと決意したことを思い出した。

そんなことを思い出してから、悩んでいた思いがすっと消えた。自分が生きている意味が分かったような気がしたのだ。それから間もなく退院することができ、普通の生活をすることができるようになった。

たくさんのご先祖様が見守ってくださっている。仏壇を拝むことでご先祖様と対話し、平穏な日々が送れることを願う。今、私の体には新しい命が宿っている。生まれてくる子どもにも仏壇を通して、生きる大切さを伝えていきたい。

仏壇公正取引協議会
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