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第3回わが家のお仏壇物語

八田神仏具店賞「父と仏壇」平川 蒼生子(福岡県)


昭和21年6月16日父は勤めていた旧満州の中学校の校庭の片隅で我が子を焼いた。私が生まれて四年後の事である。北方から避難してくる人々が学校に溢れ大混乱となり疫痢が流行、三才の私の姉が死んだ。母は産後すぐのため父が一人自分の手で我が子を焼きまだ温かい骨を拾い小さな骨つぼに入れた。数えきれない程の多くの人々が中国の地に倒れそのまま土になった。後に父はたとえ骨になっていても連れて帰れた事は感謝しているとよく言ったものだ。

それから二十年が経ち父は在職中に亡くなった。大勢の教え子達に見送られ葬式が終り寂しくなった我が家に突然大きな仏壇が届いた。教え子達が慕っていた父のためにと、皆でお金を出し合い立派な大きな仏壇を届けてくれたのだ。豪放磊落な先生に小さな仏壇は似合わないとの事だった。教え子一同とのことで、今でも贈ってくださった方々の名前も人数も知らない。

母と二人小さな仏壇を燃すことになった。庭先で火をつけた時、なぜだか父が旧満州で吾子を荼毘にふす瞬間のことを思った。小さな仏壇は木だけで造られていたので、美しい赤い炎をあげ、あっという間に雪の様にまっ白な灰となった。今でもその光景を、昨日のように思い出す。  沢山の教え子達の心の込った仏壇は今も、仏間にあり、父と母、満州で亡くなった姉の真木子、引き揚げて三年後に生まれ、二ケ月で亡くなった妹の満子の御位牌が仲良く入っている。私は今日も私に関わるすべての人を見守って下さいと、仏壇に手を合せるのである。

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