仏壇選びの達人

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第3回わが家のお仏壇物語

選外秀作「小さな掌」清水まさ子(埼玉県・60歳)

母が生前何よりも大切にしていた仏壇を、私も宝物にしています。人生の喜怒哀楽を包み込むような、濃い茶色の仏壇に、私は父母の位牌を安置して、朝夕、自分を報告します。

上の娘が、今年4歳になる孫をつれて、年末年始に東京からやってきました。 いたずら盛りの男の子は、家の中をあれこれ引っ掻き回します。大きな仏壇を見て、きょとんとした顔をしました。 「おばあちゃん、この箱みたいなの、なに」 「これはね、お仏壇といって、天国へ行った人たちが、この中に住んでおいでなのよ」 「お仏壇? へんなの」 「おばあちゃんはね、こうして毎日手を合わせて拝むと、とっても幸せになれるの。ハル君も手を合わせてごらんよ」

孫はちょこんと坐ると、小さな掌を見比べながら、こんなことを聞いたのです。 「僕ね、右手だと字が少し書けるようになったんだ。でも左手だとちっとも書けないの。どうしてなのかな」 突然の質問に、私は面食らってしまいましたが、こんなふうに言ってみました。 「そうね。それはきっと、右手はハル君だけど、左手はハル君とは別の何かだからよ」 「別の何か?」  孫はまじまじと左手を見ています。 「そうよ。だから左手は、思うとおりにならないの。でも、右手だけでは何もできないでしょう。右手はね、いつだって左手に助けてもらって何かしているのよ。本当はね、自分ひとりでは生きていけず、いつも仏様に助けていただいて生きているのが、ハル君なの。右手が自分、そして左手が仏様、こうして合掌して初めて、幸せになれるのよ」 「ふうん。仏様が幸せにしてくれるのかぁ」 そう言うと、孫はにっこりして、合掌してくれたのです。

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