仏壇選びの達人

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第3回わが家のお仏壇物語

メイクリーン賞「守るべきもの」阿部 絵利子(大阪府・19歳)


 「ええのんに入ってもらおうや。」  

言い出しっぺのじいちゃんは、それまで小さかった仏壇を、ちょいと大きめのに買い換えた。少しばかりグレードの上がった仏壇には、人生の諸先輩方に当たるうちの先祖とばあちゃんが新入りとして加入した。私が小学校三年生の時である。  

新しい仏壇はどこもかしこもピンピカで、傷も一つも付いていない。ご丁寧なことに仏壇のお掃除セット一式まで付いてきた。そして何より仏壇の奥では、ぎこちない表情を浮かべた仏さんが佇んでいた。

 ある日。本当に何げない日常だったある日。地震が起きた。一月十七日程ではないけれど、立て揺れのそこそこな震度があったのを覚えている。じいちゃん家には、じいちゃんとオカンと兄がいた。地震が起きた途端、オカンは叫んだ。

「ぶっ、仏壇守れー!」

いや、先逃げろや! だがじいちゃんも兄もツッコまなかった。守るべきものはただ一つ。買ったばかりの仏壇・仏具。ただそれだけである。オカンは慌てて開きをバタンッと閉め仏壇の上を抑え、兄は片手で仏壇の下を抑えながら鈴(俗に言うチンチン)を守り、じいちゃんは火事にならないように蝋燭と線香を吹き消した。ナイス連携プレイ!…って褒められへんわ! 仏壇の中、入る気かっ!

仏壇公正取引協議会
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