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第3回わが家のお仏壇物語

選外秀作「わが家自慢(?)のお仏壇」森本 直子(兵庫県・52歳)


「あ〜、これは完全にお東さんですねぇ」「れっきとした浄土真宗ですわ!」と仏壇を見るなり言われた葬儀社の社長の言葉。  私達遺族は「え〜? そんなぁ」「もう真言宗であげてしまったのに……」と呆然とするばかり。

そもそも、その二日前…父の亡骸を前に悲しみの間もなく、「宗派は何ですか?」の問いに、今まで何もかも父まかせだった母は「さぁ〜?」と戸惑うばかり…。 「自分んちの宗派もわからんの?」「さぁ? うちは何もしなくていい宗派らしい」 「はぁ? そんな訳ないでしょ!」と信じられないような会話の中、「まぁ西国三十三ケ所の掛軸もある事ですし、取り敢えず真言宗であげられては…」と言う社長の進言で何とか形はついた。そののち家まで仏壇を見に来られ文頭の言葉となった。

日ごろ母は「立派な仏壇」と自慢気だったが、その前に自分の家の宗派くらい把握しておいて…と言いたい。 「こんな話ってある?」と親族一同感心するやら、呆れるやら…。笑うしかない出来事でした。

問題の仏壇は今、長女である私の家にまつられています。 「阿弥陀如来像」と真言宗特有の「位牌」の共存する何とも奇妙な仏壇ですが、「他力本願」から「自力本願」になったと思い、心をこめてお守りしています。

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