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第4回わが家のお仏壇物語

銅賞「おじいちゃんと結ぶ仏壇」渡辺里佳子(岡山県・12歳)

私の家の隣に住む、おばあちゃんの家に仏壇はある。
それはおばあちゃんの夫、つまり、私のおじいちゃんにあたる人のものだ。おじいちゃんは、25年以上前に亡くなった。だから、私はおじいちゃんを知らない。

私が生まれた時から仏壇はあって、おばあちゃんの家に行くたび、おばあちゃんは仏壇に向かって話しかけていた。まだ小さかった私は、それを不思議に思ったけれど、真似をして手をあわせてみたりした。

ある日、おばあちゃんの家に行くと、楽しそうな声が聞こえてきた。
―おばあちゃんの声だ―そう思った私は、そーっとのぞいてみると、おばあちゃんは仏壇の前にいた。
「おばあちゃん、何してるの?」
と聞くと、おばあちゃんは嬉しそうに答えた。
「おじいちゃんと話をしているんだよ。」

そのとき私は、仏壇の大切さに初めて気づいた。亡くなった人を知っている人は、その人のことを決して忘れることはないけれど、私のように本人を知らない人にとって、その人は他人のようになってしまう。

でも仏壇が部屋のどこかにあることで、例えば、おじいちゃんを知らない孫も、子どもも、その人を知ることができるんだ。

そう思うと、死んだはずのおじいちゃんは、まるでまだこの部屋のどこかに生きているような気がした。

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