仏壇選びの達人

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第4回わが家のお仏壇物語

佳作「お仏壇に祈る時」鈴木真澄(福島県・70歳)


10年前、100万の定期預金が満期になった時のこと、ふと、思いついた使い道は、やがて自分の魂の落ちつき場所と、仏壇を購入することだった。
 勤めていた冠婚葬祭会社の取り引き業者から、ナラ垢材の仏壇を買った。我が家には、あいにくまだ仏様はおらず、私達夫婦のどちらかが先に居住権を得るだろうが、今の所、お互いの両親の過去帳の命日に、家族皆が線香を手向けている。
 更に、20年前には墓地も購入してあり、先に逝く者として、せめて子供達に迷惑をかけまいとの思いからだった。
 昨年、東日本大震災の頃より、老いが目立っていた愛犬が、10月に14才で天国に旅立った。
 まだ、ペットロスからぬけられず、愛犬の写真を手にしては涙する日々である。
 両親との別れも辛かったが、愛犬との別れは、もっと辛く、絆の深さを感じた。
 火葬後、お骨拾いの際、頸椎の一部と犬歯を手元にいただき、残りを納骨した。
 手元のお骨は、透明の容器に納め我が家の仏壇に置かせて貰い、写真と愛用した首輪と共に、仏壇に納ったのは図らずも、愛犬が第1号となってしまった。
 愛しい愛犬のご供養ができる仏壇があり、他人様からみれば、見当違いと思われるかも知れないが、愛犬から受けた和みに、感謝の気持でご供養できる仏壇は心が安らぐ。
 葬儀は無駄、墓地は不要、まして仏壇など…とかく不要論があるが、去った者と生きる者が向い会い、静かに手を合わせ香を手向け、願い、語り、涙するのも仏壇が有ればこそ。
 時代が変れど、仏を尊う心を失って欲しくない。
 つばき(愛犬シェルティ)、天国でも愛されてね。楽しかった日々をありがとう。

仏壇公正取引協議会
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