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第4回わが家のお仏壇物語

佳作「仏壇・同志」高橋 悦朗(岩手県・62歳)

2011年3月11日午後2時46分、巨大地震が発生した。私は経験のない揺れにたじろいだ。位牌、供物、香炉すべてが、ふっとんだ。私はなんとかふんばったが、本棚、食器棚、テレビ、洋服タンス、ベッドありとあらゆる物が、倒れたり破損した。
 田に盛り土をして建てた家のために、地盤沈下、地盤き裂がおき、家は傾いた。外出中のこの家の主人は、家の惨状にあぜんとした。電気、水道のライフラインは絶たれ、雪の降る寒いその晩、主人は車中泊をした。
 その後、市役所の調査で危険宅地と判定され、やがて家は解体された。7月1日、近くのアパートに引っ越した。写真はアパート内の私。手狭なため、仏間、寝室、物置をかねた生活が半年続いた。やがて、元の土地に小規模な住宅が完成した。12月22日、私は引っ越した。畳部屋の一角に、安住の場をいただいた。
 震災以前のように、主人は線香をたき、ご先祖に安隠を祈り続けている。主人は共に震災に耐えた私を、同志と思ってか、よく掃除をするようになった。それにしても、津波による沿岸部の被災、原子力発電所事故による被災など、すべての被災地の一日も早い復興を願わずにはいられない。

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