仏壇選びの達人

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第4回わが家のお仏壇物語

佳作「仏壇のある暮らし」川村 晶彦(神奈川県・41歳)


 3歳になる娘は、親の私が言うのもなんだが、信心深い。夕食前に風呂に入り、風呂から上がると、髪も乾かさずに仏壇の前へ走っていく。ご飯、お水、ろうそく、お線香をお供えするためだ。
 私の父は私の学生時代に亡くなっており、母は、娘が1歳になる前、私の海外勤務中に亡くなった。だから、娘は父とは会ったこともないし、母のことも覚えていない。昨年亡くなった妻の父のことはよく覚えていているので、その3人の写真が仲良く仏壇の前に並んでいるのが最初は不思議だったらしい。でも今は、3人に向かって、そして、僕も妻も顔すら知らない遠い遠いご先祖様に対しても、朝に夕に言葉を交わしている、「今日も一日ありがとうございました」。そして、「今日はいい子だったからお供えのお菓子もらっていい?」すでに手は伸びている。娘は言う、「いい子だったからお菓子くれる」って。甘いご先祖様だなと思う。
 我が家には洋間しかないので、洋間に仏壇ってどんな感じかなぁと当初は思ったが、悪くないなと私も妻も思い始めている。娘のおかげで、僕らも次第にご先祖様や亡くなった両親と義父がいつもそばにいるような気がしてくる。娘がいつも感謝の心を持ってくれるようになったこともうれしい。生後7か月でイギリスにわたった娘も、やっぱり日本人なんだなとわくわくしてくる。仏壇が辛気臭い?古臭い?とんでもない。仏壇が家にあって、なんだか世界も広がった。
 父さん、母さん、お義父さん、じいちゃん、ばあちゃん。きりがないので、ひとまとめで失礼しますが、ご先祖様、仏壇があると、いつも皆さんに見られている気がするので、一生懸命生きていこうという気持ちになります。これからもよろしくお願いします。
  仏壇のある暮らし、いいじゃない。

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