専門紙「月刊宗教工芸新聞」が提供する
仏壇と仏壇店情報
第16回わが家のお仏壇物語
仏間はひんやりとしていて薄暗く、仏壇は豪華だが不気味だ。とくに位牌はお墓みたいな形をしていて怖い。夏休み、田舎のおばあちゃんの家に泊まりに行くのが楽しみだったが、寝床はいつも仏間だ。帰るころにはすっかり慣れて何ともないのだが、やはりモヤモヤは今でも忘れない。
父が、そして母が亡くなり縁あって実家からわが家に仏壇がやってくることになった。狭いマンション住まい、大きな仏壇は置けないのでこれを機に買い替えることとした。コンセプトは明るくカッコよく、だ。仏壇はコンパクトサイズ、仏具はできるだけおしゃれなデザインのもので、位牌も夫婦連名のクリスタルガラス製に作り直した。
週末になると孫たちが遊びにきて仏壇にかわいい手を合わせる。いいぞ、怖がる様子は見えない。私の仏壇恐怖心排除作戦が通じたのだろうかと思ったら、すぐに(当たり前のように)扉をパタンと閉めた。それはそうだよなと諦めつつも、孫たちが手を合わせてくれる私仕様の仏壇には満足しているのである。