仏壇選びの達人

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第16回わが家のお仏壇物語

佳作「本質はいつもここに在る」 大林由実(神奈川県・48歳)

 家に上がって一番初めに向かう場所は仏壇。

 我が家では誰が決めたわけでもないが、幼少のころから、成人して家を出ても、家族だけではなく親族一同、家に上がったらまず初めに仏間へ行き、仏壇に手を合わせることが「当たり前」となっている。

 我が家は母屋で祖母が同居していたこともあり、今でも法事は自宅で親族一同が会して行っている。だからなのか、私たち家族にとって神仏は身近に在り、先祖に想いを馳せることは「当たり前」のことだ。ただ、大人になってこの「当たり前」は世間では決して当たり前ではないことに気づいた。仏壇がない家も多く、先祖を想う習慣がない人も多いことに驚いた。価値観の違いに言及する気は全くないし、多様性は大いに受け入れている。墓じまいや仏壇じまいも「このご時世」やむを得ない。でも、わたしは仏壇を「自分の本質に戻るための原点回帰の場所」と位置付けている。

 位牌に刻まれた先祖を敬い、「自分の在り方」を見直す。そして、母が毎日供える花を愛で、多くのお供え物を愛と感謝を持って美味しくいただく。この豊かさに溢れた場所をこれからも大切にしたい。

仏壇公正取引協議会
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