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第16回わが家のお仏壇物語

佳作「わが家の自慢の仏壇」 當銘学(沖縄県・69歳)

 祖母の家には先祖代々の仏壇がある。仏壇は三段式になっていて最上段には位牌と太平洋戦争で戦死した長男の文化勲章と賞状が飾られている。中段は四季折々のお花、下段は香炉と茶碗とお酒、水が飾られている。

 長男を戦争で亡くしたため後継ぎが途絶えた。(沖縄の風習で仏壇は長男が継ぐことになっている。)後継者を心配した叔母達は、永代供養としてお寺に預けるか後継者を探すか話し合いをした。その結果、後継者を探して継がせることにした。

 私は祖父母に育てられた。その事もありいつでも祖父母のことを忘れない。今では空き家になった祖母の家を訪れるたびに、真っ先に仏壇に手を合わせる。

「おばー、元気ねー学だよ。今日も畑仕事や地域貢献をしながら、三線などのお稽古に余暇を楽しんでいるよ。二月十日に地元の公立大学が主催した作文募集に応募したエッセー部門で最優秀賞を頂いたので報告しに来たよ。テーマはおばーが教えた。

「十ぬ指や、いぬたきやねえらん」(十本の指は同じ高さではないよ。長さも太さも皆違う。それと同じように人の考え方、価値観も異なるよ。言葉使いには気をつけなさいよ)と教えたことだよ。

 ところで、曾孫のまどかに女の子(ゆり)が産まれたよ。十ケ月で十キログラムあるよ。ムチムチマンだよ。ハイハイからつかまり立ちして動きが激しくなってきた。目にうつるものは何でも口にして目が離せない。歯も四本生えているよ。」

「おばーのお陰で今日があるよ。大好きだったかるかんやくんぴーをお供えしてあるから食べてね。これからも近況を報告するからね。おばー見守っていてよ。」

 このようにオバーの家に行ったらいつもまるで生きている頃のように語りかける。

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