仏壇選びの達人

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第14回わが家のお仏壇物語

佳作「これからも宜しく我が家の仏壇」 佐藤房江(東京都・80歳)


物心付いてから馴じみがあり鎮座まします我が家の仏壇、畳半帖程もある漆塗りで、観音開きで引き出し、引き戸棚、指物工法で、祖父が作った大切な物と父から聞いて居ります。百年以上経っていると推察されます。
一人娘の私は理不尽ではありますが何度も引越しを余儀なくしました。その度に仏壇、仏具も共に移動して来ました。今は漆は奥の方は面影はありますが、外側は薄くなり、取手や金具は劣化をして、猫のひっかき傷や犬の噛んだ跡があり、年期が入ったと云うか、手入れが出来ていない状態です。引き出しやひき戸棚には今でも捨てる事が出来ないでいる物があり、時々出して見ては、幼い頃を思い出して居ります。我が家では頂き物はまづ仏様に上げる習慣があります。
私が八才位の夏の日、近所の方からアイスキャンデーを二本頂きました。母はお皿に置き仏様に上げました。さて、食べようとしたところ、お皿の上には棒が二本だけでした。母は、
「あら、ご先祖様が食べてしまったのネ」
と清まし顔でした。体の弱かった私に食べさせたくなかったのでしょう。
私も四人の娘の子育ての時、喧嘩が過ぎて納まらない時、正座をさせお燈名とお線香を立て、話し合い反省を促し暫くすると「反省しました」「よし」で一件落着です。三人の娘は嫁ぎ孫も八人居ります。末娘と同居していて、孫達も喜んで訪問して宿りに来てくれます。枕を並べて仏間で皆んなで寝ます。
菩提寺は葛飾区水元にある縛られ地蔵でお馴じみの南蔵院です。毎月初めには自転車でお参りに行っていたのですが、八十才になって儘ならず、春と秋の彼岸、盆、施餓鬼のお参りもお覚束無づに居ります。
しかし、お仏壇、ご先祖様への朝、夜のご挨拶は忘れずに、感謝こめて行って居ります。

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