仏壇選びの達人

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第14回わが家のお仏壇物語

銅賞「仏壇選びは母への供養」 髙倉利加(静岡県・55歳)


2020年の暮れ、癌を患っていた母が亡くなった。
近親者に亡くなった者がなく、通夜、葬儀、49日、納骨、何もかもが初めて行うことばかりで戸惑うばかりだった。
仏壇選びもそうだ。
我が家には仏壇がない為、全くイメージが出来ない。
どんな仏壇が良いのか?
自宅の間取りとマッチするのかもわからない。
今風で可愛らしい物を用意したい。
そう思いながら父、私、妹夫婦と共に仏壇探しをした。
展示場には上の段だけもの、白い洋家具のようなもの、出窓に置けるようなもの。
いろいろな形があることにびっくりした。
使っている木も違えばデザイン、値段も様々。
祖父母の家にあった真っ黒で大きく重厚感あふれるものは住宅事情やらで需要は低く、奥の間に追いやられていた。
亡くなる直前に「桜の花が咲く頃まで生きていたい。」と言っていた母。
出来れば桜が彫られたものがあればと思ったが、朝から3店舗回ったが殆ど見つけられず、あったとしてもイマイチピンと来ない。
日が暮れかけた頃、訪れた3店舗目の店主が「仏具を華やかなものにしたらどうだろうか?」とアドバイスをくれた。
ワインカラーとゴールドに蝶々が描かれている一式。
派手過ぎずお洒落だ。これなら母も喜ぶかも!
そうしたら仏壇はシンプルに。
トントントンと物事がスムーズに運ぶ。
蓋に天使の羽のように見えるデザインだ。
実際に仏壇に選んだ仏具を一式置いてみると、なかなかいい感じだ。
全員一致で決まり、後日店主みずから配達をしてくれた。
設置後、手入れの仕方、祀り方まで詳しく教えてくれた。
選んでいた時に説明をしてくれていたが、選ぶことに夢中で全く忘れていたので助かった。
今はネットでお手軽に買えるらしい。
なんて合理的なんだろう。
でも丸々1日を掛けた時間は無駄ではなく、母に思いを馳せ、供養になったと思うのだ。
立春が過ぎ、春が近づいてきている。
近所の公園の桜が咲き始めたら
ママ、一緒にお散歩しようね。

仏壇公正取引協議会
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